HOME > 今週の記事1本 前画面に戻るカトリック新聞トップページへ

今週の記事1本

こちらでは、カトリック新聞に掲載されている記事を、毎号につき1本お読みいただけます。

教皇、世界の諸宗教代表に
「AI倫理」の推進を促す 【バチカン7月10日CNS】

 教皇フランシスコは世界の諸宗教指導者たちに、人工知能(AI)に支配されかねない時代にあって、人間の尊厳を守るために一致団結する時が来ていると呼びかけている。
「私は皆さんにお願いします。この新しい機械を使用する時代に人間の尊厳を守るための有効な取り組みを呼びかけることで私たちが一致していることを世界に示しましょう」と教皇は7月10日、広島で開かれていたAI倫理についての会議に参加した11の諸宗教の代表に語りかけた。
「平和のためのAI倫理」と題された会議には、仏教やヒンズー教、ゾロアスター教、バハーイー教などアジアの宗教やキリスト教とユダヤ教、イスラムの三大一神教の代表が参加していた。参加者たちは、教皇庁生命アカデミーが起草したAI開発に当たっての倫理的取り組みを求める文書「AI倫理のためのローマ宣言」にも署名した。
米国のIT企業マイクロソフトやIBM、シスコ、国連食糧農業機関(FAO)、イタリア政府の技術革新省も文書に署名している。教皇庁生命アカデミーによる7月10日の報道発表によると、ローマの教皇庁立グレゴリアン大学で倫理神学を講じるパオロ・ベナンティ神父(フランシスコ会)が、広島での会議の席上、「ローマ宣言」への補足資料を提示したという。人間の言語を処理、解釈、作成する「生成AI」の倫理的制御について特化した内容だった。補足資料は、生成AIには人間のためになる使われ方を保障するための継続的な監視が必要だとしている。

「致死兵器システム」禁止を改めて訴える

 教皇フランシスコは同日、バチカンが公表したメッセージで、「皆さんが広島に集まり、AIと平和について話し合われていることには、非常に大きな象徴的意味があります」と強調し、社会の中でますますAI技術が中心的な役割を果たしていくことを見通している。
「私たちが目の当たりにしている問題の複雑さを考えれば、AIの規制に諸民族の豊かな文化と宗教が参与することは、技術革新の賢明な運用への皆さんの取り組みが成功する鍵となります」と教皇のメッセージは指摘している。
教皇は6月14日の先進7カ国首脳会議(G7サミット)でのAIについての演説の内容を繰り返し、今回の会議の参加者たちに向けて、いわゆる「自律型致死兵器システム」の使用の禁止を一致して求めるよう呼びかけている。
「いかなる機械も決して、人間の命を奪う選択をすることがあってはいけません」と教皇は改めて訴えている。


 

カトリック新聞社
135-8585 東京都江東区潮見2-10-10日本カトリック会館5階
TEL 03-5632-4432  FAX 03-5632-7030

前画面に戻るカトリック新聞トップページへ
カトリック新聞HOME